本書は、日本員林学会講座における、故張明澄先生の講義に基づき、『老子』全八十一章の日本語訳と「道家四子」の概要および「中国仏教」への影響について記したものです。
従来、『老子』の解釈について、妥当なものがほとんどなく、さらに伝わっているテキストも中国と日本で異なる、などの問題がありました。
また、日本では、「道家」と「道教」を同一視する風潮がありますが、これは非常に間違った考え方であり、「道家」と「道教」は無関係では無いものの、『老子』の「無為自然」に対して、「道教」の「符籙」「占験」「養生」などは、いずれも「有為」つまり、目的のためにわざわざ行うことであり、『老子』の言う「無為」とは真っ向から対立する方法です。
ここをよく理解しておかないと、「無為」もできなければ、「道教」の方術をきちんと使うこともできません。
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